被相続人の意思が詰まった遺言を実行するキーパーソン、遺言執行者とは？

遺言執行者:目次

遺言執行者とは？
なぜ遺言執行者を選任するのか
遺言執行者の選任方法
遺言執行者が不当な行為を行った場合は？
「遺言執行者」に分類・タグ付けされた質問と回答一覧

1. 遺言執行者とは？

遺言執行者とは、遺言の内容の実現を任された人のことをいいます。遺言で様々なことを定めたとしても、実際に定められた事項を遂行する人が必要となります。遺言執行者は、被相続人の遺志を実現するものとして、いわば相続人全員の代表者・代理人としての地位に立つ者であるといえます。
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遺言執行者の任務としては具体的に以下のものがあります。

相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知をする
財産目録を作成し、相続人・受遺者へ交付する
遺言に従って受遺者へ財産を引き渡す
不動産がある場合は相続登記の手続きを行う
受遺者に対し遺贈を受けるかどうかの確認をする
遺言による認知があった場合、市町村役場に戸籍の届出をする
相続人を廃除する場合、家庭裁判所に廃除の申立てをする
相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為を行う

2. なぜ遺言執行者を選任するのか

遺言執行者を選任するメリットとしては、以下のようなものがあります。

(1) そもそも、遺言執行者しかできない行為がある

以下の２つは、遺言執行者でなければできません。したがって、遺言でこれらが記載されている場合には、遺言執行者を選任しなければならないことになります。

遺言による認知

認知とは、婚姻関係のない男女の間に生まれた子どもと父親との間に親子関係を生じさせる行為をいいます。認知は、遺言によってもすることができますが、その場合はかならず遺言執行者を選任しなければなりません。

選任された遺言執行者は就任の日から10日以内に、遺言の謄本を添付した上で、認知の届出を行う必要があります。

遺言による推定相続人の廃除・取消し

推定相続人の廃除とは、法律上推定相続人とされている者の相続人としての資格を失わせる制度をいいます。逆に、一度廃除したことを取り消すことも可能です。

かかる廃除・取消しは遺言によってすることができますが、この場合も遺言執行者を選任する必要があります。選任された遺言執行者は、家庭裁判所に廃除・取消しの申立てをすることになります。
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これらの他、遺贈・遺産分割方法の指定・寄付行為は、相続人であっても遂行することができますが、遺言執行者が選任されている場合は遺言執行者が遂行することになります。

逆に、相続分の指定・遺産分割の禁止・遺言執行者の指定は、遺言に定めておけば遺言者の死亡と同時に効力が生じるため、遺言執行者を選任して遂行してもらう必要がありません。

(2) 手続にかかる時間を短縮できる

例えば、遺言に従って不動産の登記を移転させる場合、相続人“全員”の印鑑登録証明書等の書類を集めなければならないのが原則ですが、遺言執行者がいれば、代表者として遺言執行者だけの書類で手続をすることができるようになります。
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したがって、相続人が多数であったり、紛争のためコミュニケーションが困難な場合であっても、遺言執行者が選任されていれば、煩雑な手続きを回避することが可能です。

(3) 他の相続人による妨害行為を防止できる

遺言執行者は、相続人の代表者として、単独で相続手続を行うことができるため、他の相続人による妨害を受けずに済みます。

また、相続人が遺言執行者に反して勝手に財産を処分しても、かかる処分行為は無効とされます。無効とされれば、勝手に処分された財産を取り戻すことができるため、相続人が勝手な行動に出ることを心配せずに済みます。

3. 遺言執行者の選任方法

遺言執行者は、未成年と破産者以外であれば誰でもなることができます。つまり、全く関係のない第三者でも、利害関係を有する相続人の一人であっても、遺言執行者になることは可能です。銀行や弁護士、司法書士などの専門家が選任されることもあります。

遺言執行者の指定の方法としては、以下のものがあります。

遺言書で指定する（「××を遺言執行者に指定する」といった記載をする）
第三者に遺言執行者を決めてもらうよう遺言する（この場合、指名された「第三者」が遺言執行者を決めることになります）
本人の死亡後、相続人などの利害関係者が家庭裁判所に申し立て、遺言執行者を決めてもらう。

指定を受けた者は、遺言執行者に就任するか否かを返答することになり、受諾すれば遺言執行者となります。

誰を遺言執行者に指定すべきかは悩ましい問題であるかもしれませんが、遺言執行者は相続人全員のために公平に職務を遂行しなければならないことから、余計なもめ事を回避するためにも、相続人以外の全く無関係の第三者（できれば弁護士等の専門家が望ましい）に依頼すべきでしょう。誰を指定するかで、後の相続手続が円滑に進められるか否かが大きく変わってくるところですので、人選は慎重にすべきです。

4. 遺言執行者が不当な行為を行った場合は？

遺言執行者が完璧に職務をこなしてくれるならば何も問題はありません。しかし、遺言執行者が職務を怠ったり、不公平な職務遂行をしてしまう場合（例えば、遺言の記載通りに財産を渡してくれないなど）もあります。

このような場合は、家庭裁判所に遺言執行者の解任を申し立てることができます。

この申立てとともに、解任をしてもらうための証拠を提出し、家庭裁判所はこの証拠に基づいて解任するか否かを判断することになります。

「遺言執行者」に分類・タグ付けされた質問と回答一覧

「遺言執行者」のQ&A一覧

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