養子縁組の種類が相続に影響する？養子縁組と相続

相続と養子縁組:目次

養子縁組とは
普通養子縁組と特別養子縁組（連れ子）
相続権の範囲
養子縁組の解消と相続権
養子縁組の解消による相続権への影響
「養子縁組」に分類・タグ付けされた質問と回答一覧

養子縁組とは

養子縁組とは、親子の血縁のない者との間に、法律上の親子関係を成立させる行為のことをいいます。

養子縁組は、親子となる者同士の合意と、戸籍法の定めるところにより行う届出により行うことができます。

届出については、養親（縁組により「親」となる者）か養子（縁組により「子」となる者）の本籍地または住所地の市区町村の戸籍課が届出先となります。

この養子縁組により、養子は養親の嫡出子と扱われるようになります。つまり、縁組当事者は法律上「親子」となり、相続権や扶養義務などの権利義務が生じることになります。
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養子縁組が利用される場面としては、配偶者の連れ子を自身の子にしたい場合や、自身の孫を養子にすることで相続税の節税を図りたい場合、男子に家を継がせたい場合（いわゆる婿養子）などがあります。
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普通養子縁組と特別養子縁組（連れ子）

養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の２つがあります。

普通養子縁組

前述の合意＋届出という簡易な手続で行うのが、普通養子縁組です。これが養子縁組の基本形となります。

もっとも、養子となる者が未成年である場合には、原則として裁判所の許可が必要となります（配偶者の連れ子を養子とする場合や、自身の孫を養子とする場合等は例外的に不要となります）。さらに、養子となる者が15歳未満である場合は法定代理人（通常は養子の実親）の承諾が必要となります。養子が15歳以上であれば法定代理人の承諾は不要です。

裁判所の許可が必要となる場合に、縁組成立まで通常必要となる期間は1～2カ月程度となります。

普通養子縁組がなされた場合、縁組当事者に親子関係が成立しますが、養子の実父・実母との親子関係はそのまま継続することになります（つまり、養子縁組により親が3人以上になることもあるということです）。

特別養子縁組

特別養子縁組も、縁組の当事者同士が「親子」となる制度であるところは普通養子縁組と同様です。しかし、普通養子縁組と異なり、特別養子縁組を行うことで、養子と実親との間の親子関係は消滅することになります（実親とは「赤の他人になる」ということです）。

特別養子縁組は、子の福祉のための制度であるとされています。そのため、養子となることができるのは6歳未満の子供に限られています（6歳に達するまでに養親となる者が養育していたという事情がある場合には、例外的に7歳までの子供も養子とすることができます）。

手続についても、特別養子縁組は普通養子縁組のように当事者の合意と届出だけで行うことができず、厳格な要件が課されています。

まず、縁組が認められるのは、実親による養子となる者の養護が著しく困難又は不適当である等の事情がある場合に限られます（例：実親が育児放棄をしている場合等）。

また、縁組を行うためには、裁判所の許可を得る必要があります。

さらに、養親となる者についても条件があります。養親となることができるのは、婚姻している夫婦であり、夫婦の片方が25歳以上、もう片方が20歳以上である者のみとなります。

また、特別養子縁組をする場合には、夫婦が共に養親となる必要があります（普通養子縁組であれば、夫婦でない者が養親となることもでき、配偶者がいるものであっても夫婦共同で養親となる必要はなく、配偶者の同意があれば単独で養親となることもできます）。

もっとも、養子が配偶者の嫡出子である場合であれば、夫婦の他の一方が単独で養子縁組をすることができます（例：夫が妻の連れ子を養子にする場合）。

普通養子縁組の場合と同様に、特別養子縁組をする場合にも養子の実親の同意が原則必要となりますが、実親が虐待をしていた等の事情がある場合には、実親の同意なく縁組をすることも可能です。

上記の要件を満たし、さらに6カ月以上の試験養育期間を経て、その間の養育状況を考慮した上で家庭裁判所が縁組を許可するか否かを決定することになります。

特別養子縁組の実際の運用としては、児童相談所や民間のあっせん機関、医療機関等の仲介によりなされています。

相続権の範囲

普通養子縁組の場合

普通養子縁組であれば、養親との親子関係だけでなく、実親との間にも親子関係が存在するため、これら双方について相続関係が存在することになります。

つまり、実親が死亡した場合であれば、養子は実親の実子でもあるため、養子は実親を相続することになりますし、養親が死亡した場合も、養子が養親を相続することになります。

さらに、養子が死亡した場合であって、かつ養子に子供がいないのであれば、実親と養親が共に養子の相続人となります。

特別養子縁組の場合

特別養子縁組の場合は、養子と実親との間の親子関係は消滅するため、相続権の範囲は普通養子縁組の場合と異なることになります。

具体的には、実親が死亡した場合であっても、養子は実親の相続人にはなりません。同様に、養子が死亡した場合も、実親は養子の相続人にはなりません。相続権が生じるのは、養子と養親の間のみということになります。

養子縁組の解消と相続権

養子縁組による親子関係は、解消することができます。離婚（婚姻関係の解消）と似たようなシステムであり、要件・効果に共通点も多いです。

普通養子縁組の場合

縁組が当事者の合意でできたのと同様、離縁も当事者間のの協議に基づく合意により行うことができます。養子が15歳未満である場合には、離縁後に養子の法定代理人となる者（養子の実親など）の同意が必要となります。

しかし、合意が成立しない場合であれば、家庭裁判所が離縁調停を行うことになります。

離縁調停も成立しない場合は、離縁の訴えを提起することになります。この場合、裁判において以下の事情のいずれかが認められれば、裁判による離縁が成立します。

養親または養子が他の一方により悪意で遺棄されたとき
養親または養子の生死が3年以上明らかでないとき
その他縁組を継続し難い事由があるとき（例：重大な虐待や侮辱、性格の不一致、養子の養育が困難、養子による浪費・犯罪行為等）

特別養子縁組の場合

特別養子縁組制度は子の福祉のために設けられたものであるため、普通養子縁組と異なり、当事者間の協議や訴訟による離縁は認められていません。

例外的に、家庭裁判所の審判による場合に限り離縁が認められていますが、それも以下の条件の全てに該当する場合に限られます。

養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
実親が相当の監護をすることができること。
養子の利益のために特に必要があると認められること。

また、家庭裁判所に対する離縁の請求は、養子・実親・検察官しかすることができず、養親に請求権は認められません。

養子縁組の解消による相続権への影響

縁組の解消により、養子と養親の親子関係は消滅するため、解消後に元養子・元養親が死亡しても、それぞれが相続人にならないことになります。

特別養子縁組の場合は、縁組の解消により、消滅した実親との親子関係が復活するため、実親・子が死亡した場合、それぞれが相続人になることになります。

なお、縁組の解消前に相続が生じていた場合であれば、縁組が解消されても既に生じた相続に影響はありません。したがって、この場合元養子・元養親は相続人となりえます。

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養子縁組解消した子供: 父と前妻の間に二人の子供がいて、私の母と結婚しました。その後、二人の前 ...。
母の子でなくなっていますので，相続権はありません。: 回答数4件回答をみる

養子縁組をしていない後妻の子供(成人)の遺産相続について: 私の実父が先日他界しました。実母は25年前に他界しています。 ...。
お父さんの相続人は配偶者の後妻と子供です。 ...: 回答数2件回答をみる

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法律上の権利はないということです。もちろん，あなた方が同意すれば，後妻の子に対する贈与という形で，事実上，後妻の子を含めた分割はできます。: 回答数3件回答をみる

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お父様の相続人は後妻様とお兄様とあなたになります。後妻様のお子様は養子縁組していない以上相続権はありませんので、遺産分割という形ではお父様の遺産を分けることはできないでしょう。: 回答数1件回答をみる

伯母の遺産相続権利: 平成23年12月に夫死亡、子無しの伯母が亡くなりました。 ...。
１　叔父に対し，被相続人の遺産（過去に所持していた預貯金等についても）の開示を求め，遺産が残っているのか，叔父が被相続人の財産に手を着けているかどうか確認します。 ...: 回答数4件回答をみる

遺贈について: 先日、母が孫に母名義の土地を遺贈するという公正証書を作りました。この場 ...。
遺贈による不動産の取得は，相続税です。代襲相続人でない孫への遺贈は，２割加算です。 ...: 回答数3件回答をみる

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父が再婚して死んだあとの遺産相続: 私は長男で私の下に二人妹A,Bがいます ...。
はじめまして、弁護士の佐久間篤夫と申します。 ...: 回答数3件回答をみる

住宅購入時の資金について: 知識が浅く、不明な点が多いのでご教授ください。 ...。
　住居を新築される場合の資金としては，現金で支払えるお金持ちは別ですが，一般的には頭金を支払い他は住宅ローンを使用されることになります。 ...: 回答数2件回答をみる

公正証書の効力と養子縁組について: こんにちは。質問させてください。 ...。
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養子にした子供の相続権: 弟は子供（実子）が2人おり、そのうちの一人を離婚の歳に引き取り、残りの ...。
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